泪の花。
走りながら時計を見る


9時…


間に合うだろうか?



「…美…ん…初美さん!!」



後ろから声がした気がして、


振り返ると咲坂君が追いかけてきていた。



「初美さん!!アイツ、俺はもう必要ないんだって…そう言ったんです。意味は分からなかったけど、お願いです。止めて下さい!!校門に車を用意しときましたから!!」


玄関から力一杯声を張り上げている咲坂君。



兄弟揃って叫ぶのが好きなんだな、と笑ってしまった。




車に乗り込んで、ひたすら時計とにらめっこをしていた。



止まって欲しいと、何度も何度も願ったけど、そんな事起こる筈がない…


間に合って…



私はまだ言ってないのだから…



アイツに、海斗に…
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