泪の花。
「ねぇ、今の話ホント?」



『こんなとこで、大声でウソをつくバカが…ど…こに…って!!』


「ねぇ?ホント?」


振り向いたそこには、アメリカに行った筈の海斗がいた。




泣きながら私をきつく抱き締めて…



頬を濡らして震えている。


硬直したまま動けない私に


「お墓参りしたあの日、初美が、もういいよ。もう大丈夫。って墓前に言った時…由貴さんが、俺に言ったように思えたんだ。」



『…え?』



「もう、初美は大丈夫だから、側にいなくてもいいよって言われた気がした。もっと側に居たいのに…初美の新しい人生に俺が居たらいけない気がしたんだ。だから、アメリカで過ごそうと思って…」


そう言うと、より一層強く抱き締めてきた。



『なんで居るのよ…なんで…私を抱き締めたりすんのよ…』


会えて嬉しいのに、こんな時も天の邪鬼な私は素直になれない。

< 187 / 203 >

この作品をシェア

pagetop