泪の花。
花の名前
その日の夜
おばちゃんの夢を見た。
おじいちゃんを初めて見た日の夢…。
おじいちゃんは、私が産まれる前に亡くなってしまったらしく、見たというのは写真でだった。
中学生になって間もない頃、おばあちゃんが好きな花だと、おじいちゃんの写真を見せてくれた事がある。
その写真には、少し恥ずかしそうに紅くなって俯いたおじいちゃんが、両手いっぱいに紫色の花を抱えていた。
『この花の名前は何?』
そう聞くと
「さぁ?なんだろね?なんだと思う?」
と聞き返されてしまった。
おじいちゃんに、その花の名前を聞かなかったそうだ。
『なんで?』
と聞いた私に、
「天国に行ったら直接聞くさ」
と笑っていた。
その花の名前を、一時期気になってはいたが、おばあちゃんが居なくなってから、全てを忘れようとするように…
花の事も、記憶の片隅へ追いやっていた。
おばちゃんの夢を見た。
おじいちゃんを初めて見た日の夢…。
おじいちゃんは、私が産まれる前に亡くなってしまったらしく、見たというのは写真でだった。
中学生になって間もない頃、おばあちゃんが好きな花だと、おじいちゃんの写真を見せてくれた事がある。
その写真には、少し恥ずかしそうに紅くなって俯いたおじいちゃんが、両手いっぱいに紫色の花を抱えていた。
『この花の名前は何?』
そう聞くと
「さぁ?なんだろね?なんだと思う?」
と聞き返されてしまった。
おじいちゃんに、その花の名前を聞かなかったそうだ。
『なんで?』
と聞いた私に、
「天国に行ったら直接聞くさ」
と笑っていた。
その花の名前を、一時期気になってはいたが、おばあちゃんが居なくなってから、全てを忘れようとするように…
花の事も、記憶の片隅へ追いやっていた。