泪の花。
病室に入ってきた秋の風は、少し肌寒くて…



もうすぐ冬が来る事を、私に教えてくれていた。


「パパですよー」



と桔梗を見ながらデレデレの海斗。



私たちは、産まれるまで性別を聞かずにいた。



海斗には言わなかったけど…



私には…産まれてくる子が、女の子だという確信の様なモノがあった。



産まれた直後に、海斗は

“桔梗”

と名付けた。



おばあちゃんが好きだった、花の名前を。




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