泪の花。
そうだね、海斗。


…信じてみたい。



その儚げで…



崩れやすい気持ちを守って、育てていきたい。




願わくば、桔梗の生きていく道に…小さくても、温かい幸せが沢山落ちていますように。



そう、切実に思った。



「今度は男の子だな」



とニッコリ笑ってみせる海斗。



『海斗に似ないといいけど』



「オイ!!」


くだらない会話に幸せを感じる。



「男の子の名前思いついた!!」



気が早いな…


と呆れたが、一応聞いた



『何?』



「秋斗。咲坂の男ってみんな“斗”をつけるんだ…秋は、初美が好きな季節だから。」



と照れたように俯く。


『いい…名前ね』


茶化したわけではなく、本当にそう思った。
< 199 / 203 >

この作品をシェア

pagetop