泪の花。
時は経ち
私は中学生になった。
でも、泣き癖はなかなか治らなかった。
いつものように祖母の部屋に行くと、そこには…見知らぬ男の子がいた。
入った瞬間、部屋の空気がいつもと違うのを感じ、鳥肌が立った。
眠ったように横たわる祖母は、冷たくなり…息をしていない。
おばあちゃんと呼んでも返事はなくて…
『初美』
と呼んでくれる優しい声を聞くコトはもう叶わないのだと、心のどこかで分かっていた。
一番悲しい筈なのに涙は出てこなくて…
この日…私は初めて泣く事を怖く感じた。
泣いても受け入れてくれる祖母がいなくなった。
という事実は私の感情に一つ一つ蓋をしていった。
心の中にポツポツと墨が落ちたように黒く浸食されて、真っ暗になっていく。
隣で涙を流す見ず知らずの男の子に、誰?という質問をする気力も起こらなくて、その男の子は祖母の手を離して、今度は私の手を握ってボロボロと大粒の涙を流し始めた。
永遠に続くように感じた時間の中で祖母をずっと見つめていた。
私は…今までホントにどうでもいいコトに涙を流していたんだなと…思わずにはいられなかった。
私は中学生になった。
でも、泣き癖はなかなか治らなかった。
いつものように祖母の部屋に行くと、そこには…見知らぬ男の子がいた。
入った瞬間、部屋の空気がいつもと違うのを感じ、鳥肌が立った。
眠ったように横たわる祖母は、冷たくなり…息をしていない。
おばあちゃんと呼んでも返事はなくて…
『初美』
と呼んでくれる優しい声を聞くコトはもう叶わないのだと、心のどこかで分かっていた。
一番悲しい筈なのに涙は出てこなくて…
この日…私は初めて泣く事を怖く感じた。
泣いても受け入れてくれる祖母がいなくなった。
という事実は私の感情に一つ一つ蓋をしていった。
心の中にポツポツと墨が落ちたように黒く浸食されて、真っ暗になっていく。
隣で涙を流す見ず知らずの男の子に、誰?という質問をする気力も起こらなくて、その男の子は祖母の手を離して、今度は私の手を握ってボロボロと大粒の涙を流し始めた。
永遠に続くように感じた時間の中で祖母をずっと見つめていた。
私は…今までホントにどうでもいいコトに涙を流していたんだなと…思わずにはいられなかった。