泪の花。
『私、こんなとこで何してるんだろ…』


「目、覚めた?」



聞いたような声がして、振り向くとあの不躾な男がいた。



「アハハ…!!んな、あからさまにイヤな顔すんなよ」



『なんで、あなたがここにいるんですか?』



「俺が運んだんだよ」



その言葉を聞いた瞬間、開いた口が塞がらなかった…



『な…なんでそんな余計な事を!!あんたになんか担がれたくないわよ!!』


「ありがとう。だろ?それに担いでねーし」



『え?』



「お姫様抱っこだもん」



だもんじゃねー!!!!と叫びたかった…


『誰かに…見られた?』


「昼休みだったからな、全校生徒の注目の的だった」

とニコニコしながらサラッと言ったこの男を殴りとばしたい衝動にかられたが、それをグッと堪えてため息をついた。

明日、私はまた呼び出されるのだろうか?

そう思うと憂鬱で仕方ない…


「具合、どう?」

本当に心配したように聞くからちょっとビックリしてしまった。

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