泪の花。
『大丈夫…私、何で倒れたんだろ?』



「さぁ?保健医は何も異常ないって言ってた…でも、一応病院行った方がいいんじゃない?」



『余計なお世話よ』


「可愛くねー」


と、笑う


『バカに…してるの?』

「何で?」


『私、あなたの事何も知らないのにあなたは私の事を知っているように笑うから。』



「知りたいと思ってるよ」



分かりたいとか、知りたいとか、そういう考えは…何だかうっとうしい。


分かって欲しい。


と思う反面、分かった風に言われると不快感を覚える自分がいる。


わがままだけど、知っていたいとか思うのはただのエゴではないかと私は思う。


『なんで?』


「俺はね、相手の事を知る事は近付く為の方法だと思うんだ。」


『近付く意味はあるの?』

「スパッと言うねー」

また笑う…

『私は分かってなんか欲しくないし、あなたと近付きたいとも思わない。助けてくれてありがとう、じゃあ…』


帰ろうと立ち上がった横に、花瓶に生けてある紫色の花が目にとまった。
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