泪の花。
また逃げられて…


靴箱で固まっている俺に、



『何してんだ?海斗』



と春斗が話かけてきた。


「いやー…あんな顔真っ赤にして、可愛い顔で睨むのは反則だよな…」



『は?一体なんの話だよ。それより、なんで初美さんに俺が双子だって言っちゃいけないんだ?それなのに、受験する高校が分かったら教えてくれなんて…』



「春斗…頼む。何も言わずに力を貸してくれ。高校に受かるまでだから…」



『分かったよ…あーぁ朔來も、お前も勉強見なくちゃいけないなんてな…てか、初美さんと知り合いならお前初美さんに教えて貰えよ。』



「そんな事できるわけ…あっ、そっか。なら兄ちゃん…また一肌脱いでもらうぜ」


と意地悪そうに笑った海斗。

しまった!!


と思った春斗…時すでに遅かった。

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