泪の花。
朝の咲坂君…


なんだか様子が腑に落ちなかった。


でも…勉強を教えるだけだ。



マスクかけてようが、サングラスかけてようが、自分に出来るだけの事をやろう。



そう思いながら図書館へ向かった。



放課後、人がまばらになった図書室は夕日の優しい色でいっぱいだった。



わりとこの場所が好きで、よく1人で本を読んだりするが…


初対面の人を待っている。という初めての事になんだか落ち着けずにいた。


ガラガラと扉が開いて、入ってきたその人はすぐに私が勉強を教える人だと分かった。



サングラスにマスク…


長い髪の毛を無造作に束ねていた。



『咲坂君のお友達ですか?』


そう聞くと、コックリ頷いて机に座った。


紙を取り出したかと思うと



“よろしくお願いします”



と書いて私に差し出した。

本当に人見知りなんだなと思い、その紙に

“こちらこそ”

と書いて渡した。

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