泪の花。
第二章

入学式

全てを忘れたかった4月。


熱に魘されはしたが、とりあえず入学式には出席出来た。



学校へ行くと、咲坂君がひたすら謝ってきた。



『もう、熱も下がったし、咲坂君のせいじゃないんだから…そんなに謝らないでください。』


「騙したのは事実だし、でも………そこまで嫌ってるなんて知らなくて…ちょっとした知り合いなのかなって…ホントにごめんなさい!!!!」


『嫌って…』


「え?」


『いや、ホント大丈夫ですから。朔來は元気ですか?』


それから、少し世間話をした。


表情が明るくなった咲坂君は、朔來を見つけに去っていった。


嫌って…はいません。



と口走りそうになった自分にストップをかけた。


なんで、嫌ってないなんて言いそうになったんだろう?


謝りにも来ない最低な奴なのに!!




でも、あの涙は偽物じゃないと思うから…


それに、私を笑わせてくれたのは事実で、悪いようには考えられなかった。





泣いた事を餌にアイツをからかってやろうか?


なんて、そんな黒い考えを頭の中で巡らせていたのは、誰にも内緒だけど。
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