泪の花。
「コイツが強い?お前の目は節穴か?それとも、冗談で言ってんのか?…いい加減な事言うな。好きなんて大切な言葉を簡単に使うんじゃねぇ。」



「…っ!!」


ガラガラと扉が開いてバタバタと出て行く音がした。


固まっていたが、この状況をようやく思い出してもがく


『んー!!んッ!!』



「あっ、ごめんごめん。」


『窒息させる気?』


そう言いながら、手が緩んで離したアイツを突き飛ばした。



「だって、木の下に置いてかれて寂しかったんだもん」


さっきまでの雰囲気はどこへやら、ふざけたいつものアイツだった。


『信じらんない!!あんたが返事するなんて!!』


「だって断るつもりだったろ?」


ケロッとして言うアイツに、力が抜ける感じがした。



「あんたから、怒りオーラが出てた。出てったアイツには感謝して欲しいくらいだよなぁ。代わりに俺が怒鳴られてんだから」


とニコニコしながら言っている。


そっか…コイツがこなければ、あの人に私の理不尽な思いだけで怒鳴っていたかもしれない。


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