泪の花。
『旅行って…どこの海に行くんだか』


ブツブツ言いながらバックに服を詰めていると…



「俺んちのペンションだよ」




と気配もなく近づいてきたアイツ。



『勝手に部屋に入ってくるな!!居間で待ってろよ!!』



という私の言葉を無視して、私の向かいの部屋へと歩いていき…そこで立ち止まった。



そこは、おばあちゃんの部屋で…今も昔もあまり物はなかったが、人がいなくなった為、更に閑散としている。



『…なにしてるの?』


「イヤ、別に」


いつものようにサラリとかわされ、居間へ戻っていったアイツ。



変に思いながら、ふと考えた。他人の事を深く考えないのは私の長所なのか、短所なのか…と。


そして、一通り準備が出来た。


うちは放任主義だが、一応置き手紙をして家を後にした。



朔來達は、うちまでどうやって来たんだろう?と思ったが…玄関の前には、運転手付きの大きな車。


咲坂家って、一体どんな仕事をしてるんだろう?


と考えられずにはいられなかった。



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