泪の花。
そう問うと…ゆっくり咲坂君が話だした。




「朔來のじいちゃんがさ、子供大嫌いだったんだよ。不器用な朔來は小学校に上がっても上手く箸使えなくて、食べ物をポロポロ落としてばっかりだったんだ。」




「それがどうしたんだ?」


「最後まで聞けよ。なるべくじいちゃんと一緒にご飯食べない様に朔來も、親も気をつけてたんだけど…ある日たまたま二人でご飯食べる事があって、その時はもう箸を使いこなせてたんだけど…緊張してこぼしながら食べてしまって、そしたら

《ポロポロこぼして…この暑さにもイライラするのに、ガキなんかと飯食うと不味くなる!!》

って怒鳴ったんだって。

その時ちょうど俺が来て箸持ったまま動かない朔來が泣きもせずに震えてたんだ…で、直後に吐いた。

それから殆どご飯食わなくなっちゃって入院して、俺は毎日見舞いに行った。でも、ずっと点滴しててご飯は食べれなかったんだ…」




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