泪の花。
「…拒食症?」

「医者の診断ではそうじゃないかって、異常はどこにも見つからなかったから、精神的なものだろうって言ってた。朔來の親に説明してるのをこっそり俺は聞いたんだ。でも、なんでそうなったか分からないと朔來の両親は頭を抱えてた。」


朔來の髪を撫でながら話す咲坂君は、少し寂しい表情をしていた。



「じいちゃんのせーだろ?」


「この事は、今の今まで朔來と俺とじいちゃんしか知らなかった。朔來が誰にも言わないでって必死に頼んできたから…」


その話を聞いて、私がお見舞いに行った日の事を思い出した。


『朔來…ホントはおじいちゃん大好きだったんですね。おじいちゃんもホントは朔來が可愛くて仕方なかったんだと思います。』


「「え?」」


とダブルサウンドで聞き返されて引いてしまったが、ヤッパリ双子だなと思った。


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