泪の花。
咲坂君も疲れていたらしく、朔來を膝枕したまま眠ってしまった。


「なぁ、俺にもあれやって」



『寝言は寝て言え。』


「ケチ。」


と膨れるバカ野郎。


咲坂君も朔來もすごく幸せそうで、温かい気持ちになれたのに…


『ことごとく邪魔。』


「何の話?」


『さぁね』


「俺たち3人幼なじみでさ、兄弟みたいに育ったんだ。」



何をいきなり話始めるのだろうと不思議に思った。


「春が朔來と付き合うって言ってきた時、嬉しかったけど…反面不安な気持ちにもなった。春が朔來を好きな事は、誰から見ても明らかだけど、朔來は俺に対しても、知ってる人に対しても、態度が同じに見えたから…朔來はホントは春じゃなくてもいいんじゃないかって」



兄弟思いなのもビックリしたが、朔來の事…言われてみればそうだと思った。


知ってる人に対しては、いつもニコニコしている。


でも…


「でも、春はそれでもいいっていうんだ。朔來が泣きたい時の居場所になれればって。」


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