泪の花。
第一章

怒りと悩み

おばあちゃんが死んでから、1年が経った…


私は、変わったといえば変わった。


以前より、もっと感情がうまく表せなくなった事。


泣かなく…泣けなくなった事。


後、私に話しかける人はほとんどいなくなった事。


私自身…何も進歩しちゃいないけれど、私を取り巻く環境が変わっていったのは本当。




そんな事を考えながら俯いた瞬間、人に当たった…


「ごめんなさい」


下を向いたまま、一応謝っているのに返事がなくて、怒る気配も感じられず…ゆっくりと顔を上げると



『オイ…アンタ…海斗って呼んでみろよ。』


いきなりそんな事を言われた。



訳も分からず早々に立ち去ろうとすると、私の腕をつかんで


『呼べって』


また言った。


「何でですか?」


『ぶつかったから。』


「謝ったじゃないですか」


『言えって。』



変な男にぶつかってしまったと激しく後悔した。

でも、見上げたその人は何故か見覚えがある気がした…が、初対面でこんな突拍子もなくて、非常識な事を言い出す人なんて知ってる筈がないと…気のせいだと思いこんだ。
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