泪の花。
「お父さん、海斗をからかうのは楽しいでしょうけれど、初美さんが迷惑です。放して下さいね、で何の用です?」



「いやー春ちゃんは怖いね、逆らえない。」


と咲坂君の言う事は素直に聞くので、アイツは握り拳を握り震えていた。


「春ちゃんなんてやめて下さい、気持ち悪いです。サッサと用件をお願いします。」


心なしか、咲坂君は静かに怒っているように見える。


すると朔來が



「春ちゃん…春ちゃんて呼ばれるの嫌いだったの?」



と今にも泣きそうだ。


…なんだこの状況は。


咲坂君は、さっきとは打って変わったように、あたふたしながら朔來に違うよ!!と訴えて…


アイツはお父さんにガンつけながら、お父さんはニコニコしながら見つめ合っている。



不思議な空気に耐えられなくて…


私は関係ないや、そう思いゆっくりと気付かれないようその場を離れて外へ出た。




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