泪の花。
とても綺麗な砂浜なのに、あまり人はいなかった。



知られてない穴場といったとこなのだろうか?



夕日が海に写って広がり、より一層オレンジ色が引き立っていた。



海辺に二つの人影が見えて、ある程度近づいた所で老夫婦が散歩しているのが分かった。




なんだかドキッとして、おばあちゃんも…おじいちゃんと、あんな風にお散歩したかっただろうな…


そう思うと寂しい気持ちと、苦しさでいっぱいになった。






「初美の好きなオレンジ色だな!!」



そう声が聞こえて…



声の主は分かっていたが、振り向いてしまった。


「知ってるか?オレンジ色と黒って密接な関係があるんだ」



『もしかして、夕日が沈んだら夜が来るからなんて言うんじゃないでしょうね…』


「…」



『図星なの?』



「初美のバーカ!!!!」




海に向かって叫ぶ、あんたの方がバカだよ。


とまでは可哀想になったので言わなかった。



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