泪の花。
不思議…

側にコイツがいると、気持ちが楽になる。



会話らしい会話が、成立しているようでもないんだけれど、私に沢山絡まった鎖が少し軽くなる気がする。


持ち上げてくれているんだろうか?


憎たらしい事には…変わりないけれど、感謝せずにはいられなかった。



「笑ったな…いや、笑ってくれて嬉しいけど!!俺にとっちゃ一大事なんだ…!!」



『あっ、そう言えば…朔來って幼なじみなんでしょ?お父さんと初対面みたいな会話してたけど…』



「あぁ、初対面だな。うち両親揃って海外にいるから。」



『ふーん…海外、海外!?』



「うん、母さんが体弱くてあっちの病院にいるんだ。で、母さんと離れたくなかった咲斗は日本の会社を支社にして、あっちの方に本社を作った。」


あんまデッカい企業でもないけどな。


ってサラッと言ったが、私にとっては別世界の事を話された気分になった。




『じゃ、咲坂君と二人暮らしなの?ご飯とかは?』



「家政婦さんがいたけど、俺ら自分で一通りこなせるから必要なくなって今はいない。」


びっくりした事ばかりで溜め息をもらしてしまった。



< 66 / 203 >

この作品をシェア

pagetop