泪の花。

しばらく海を見ていると後方から怒鳴り声が聞こえてきた。



「コラーッ!!咲斗!!初美から離れろ!!」



と怒りながら大声で叫んでいる




『あの…お父さん…私、さっきから不思議なんですけと…なんであんなに怒ってるんですかね？』


ポカーン


と口をしばらく開けたままだったお父さんは、お腹を抱えて笑い出した。

「どうぞ咲斗と呼んで下さい…」


そして


「海斗ー!!!!道のりは長いなぁ!!!!」



と叫び返した。


怒った顔で玄関に仁王立ちしている…バカ。



でも、その時アイツが小さな声でお父さんに言った一言を、私は聞き逃さなかった。





「親父…おかえり」



と耳を真っ赤にしていた。


また、泣きそうになったお父さんの手をギュッと握るとアイツが激怒した。


『意味が分からない。一体何なんなのよ』



と言うとお父さんだけじゃなく、アイツの後ろにいた朔來と咲坂君も爆笑していた。