泪の花。
「咲斗が迷惑かけたな」

そうぶっきらぼうに謝る


『別に迷惑なんて思ってないよ。あのさ…なんで名前で呼ぶの?お父さんの事。』



「咲斗を父さんなんて呼んだ日には…一日中もう一回呼んでくれってつきまとわれるんだ…」



ちょっと青くなってウインナーにフォークを突き刺した。


なるほどね…


と納得できる答えだった。


「アイツに、なんか言われたか?」



『……アメとムチの話?』



なんだそれ?


と言いながら少し笑った。


『笑顔はやっぱり似てる』



嫌がるのを分かっていてあえて口に出した。



勘弁してくれ…


と顔を隠す仕草は、何か小さな動物のようだった。





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