泪の花。
昼間の海は、夜とも夕方とも違う青空を写している。


清々しい程のこの青は、私には少し眩し過ぎる…


「俺さぁ、海は夜の方が好きだな。」

核心をつかれたような…
またしても心を覗かれたような…

コイツはどこまで人を驚かしたら気がすむのだろう?



『私も…海自体、あんまり好きじゃないけど、夕方から夜に変わる海は大好き。』




朔來はまた咲坂君の膝の上で眠りこけて、本を読んでいる咲坂君もうつらうつらしている。



こんな穏やかな時間…



少し前まで、流れている事にも気付かなかった。


私の中にある暗い影が消える気配はないけれど、暗い場所ばかりではないから…光がなければ影もできない。



私は光を見つけなくちゃ、自分がなんで影になっているか…その理由を見つけなくちゃ。



気付くと、海水で濡れていたワンピースはいつの間にか乾いていた。



「あっちに遊歩道あるんだけど…行く?」


『朔來達はどうするの寝ちゃってるのに』


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