泪の花。
「この先に花畑があって…じいちゃんが好きな花が沢山植えてあんだ。初恋の人の好きな花なんだって…」



急な曲がり角を曲がると、そこには一面に紫色の花が広がっていた。




「その初恋の人に気持ちを伝える事は出来なくて…その人が好きな花だからって欠かさず手入れしてた。」



『おばあちゃん…』



そう言った言葉は、突然吹いた風にかき消された。





「じいちゃんは、ばぁちゃんも大好きだって言ってた。アイツと一緒になれて幸せだったと笑って死んだ。」



『それって…』



「うん…なんか変な気分になるよな。でも、ばぁちゃんは、じいちゃんが初恋の人を忘れられないのを分かってて結婚したんだ。」



『…え?』



「ばあちゃんから、それでもいいから、あなたの側に居させて下さい。って言われたんだって」




アイツのおばあさんは本当に、心の底からおじいさんを愛していたんだと思った…



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