泪の花。
“謝られるより、感謝の言葉の方がいい。


泣き顔より笑顔の方がいい。”



おばあちゃんが言ってくれた事がある。




“無理にしなくていい。


本当に笑いたい時、感謝したい時、沢山その気持ちを込めて相手に送りなさい”


って…


もしかしたら、アイツのおじいさんの初恋の人は、おばあちゃんかもしれない。



昔の恋の物語が合わさったように思えて…


切なくも、嬉しいような気持ちになった。


おばあちゃんの事を思い出すのは辛い…


私は、なんであの時もっと早く帰らなかったの?

とか後悔ばかりが押し寄せる…


未だに言えないおばあちゃんへの言葉も、封じ込めて…固く心の口を閉ざしている。




「初美?暑さに目眩でも起こした?」




『………大丈夫。ねぇ、なんで私にそんな話をしたの?』


「なんとなく…かな。俺がここにいる事も、初美とこうやって話せてる事も、本当に奇跡の様な事だよなって思ったんだ。そしたら勝手に口が動いてた。」



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