泪の花。
チャイムの音が鳴り終わり、教室に戻ろうと振り向くと、そこにはアイツがいた。



私は、怒っているわけではないけれど、顔を見たくない…


恥ずかしい様な…悔しい様な、変な気分が隠しきれない。



「あー怖っ、あんな朔來初めてみた。」



頭をポリポリかきながら私に近づいてくる。


「ねぇ、傷ついた?」



今、思った…


コイツは私が嫌いなんだ。


私も…夏の暑さでコイツが良い奴じゃないかと勘違いしてたんだ…



でも、良い奴って何?



私に、都合のいい事ばかり言う人を良い奴だなんて思ったなら、それはただのワガママだ。


ぐるぐると色んな考えが頭を巡り、居たたまれなくなって…横を通り過ぎようとすると、手を掴まれた。



また涼しい顔しているんだろう。


そう思って見た顔は、凄く切ない顔に見えた…


逆光で、見間違えただけかもしれない。


被害者か加害者かと聞かれれば、被害者なのに…私が傷つけたようだ。



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