泪の花。
何を意地になっているのかも分からないけど…


何だか…



他に好きな人がいるのに、こんな風にプレゼントをやるコイツが無性に腹立たしくて、やるせなかった。



「春じゃないけど、俺もバイトして買ったんだ。安物しか買えなかったけど…返すなんて言われたら悲しい。」



と俯く。



だから!!


なんで私にそんな事するのよ!!


と喉元まででかかった言葉を飲み込んだ。


どうせ答えないだろう。


『貸しなさいよ…付けるから』



そういう言い方しかできないけど、アイツの表情は、みるみるうちに明るくなった。



ただ、誕生日だから。



ただ、コイツの気紛れで。



くれるのなら貰っておこう。



そう思う事にした…



でも、返すと言ってしまった後、自分が凄く後悔している事に驚いた。



『私、そんな欲深かったかな?』



心の中で呟いたつもりだったのに声に出していて


「なんの話?」



と聞かれてしまった。



コイツは秘密が多すぎる。



ムカつくくらい口が固いし、優柔不断そうに見えて実は違う。



見た目と中身が違い過ぎるのも、問題だなと思った。
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