深想シンドローム


「ま、まずいよおっ!」

授業が始まっちゃうっ!


そう思いつつも、この人をこのままにしておく訳にもいかず。


「す、すみません!」


思い切って声を掛けてみたものの、その人は起きる気配もない。


「授業始まりますよ!」

ピクリとも動かない。

「あの、すみませーんっ!」

微塵も目を開く様子がない。


ど、どうしよう…。
このままじゃ、遅れちゃう!

先生に怒られちゃうよぉっ!!!


…こ、こうなったら。


ええーいっ!




「の、野崎さんっ!起きて下さいっ!」

精一杯の勇気を振り絞り、名前を呼び掛けながらその人の肩を揺らした。


「…んだよ、」

かすれた声、そして僅かにだけれど、薄く開かれた瞼。

その視線が動き、ばっちりと目が合う。


やっと起きた!なんて思ったのは一瞬で。


あたしはそこで息を呑んだ。




だって、この人…。



キレイすぎるーっ!!!!






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