深想シンドローム


「なーるほどねぇ…。」

「………。」

「てゆーか、何でそうゆう大事なこと、昨日話さなかったのよ!」


ボールが体育館の床を叩く音が響く、体育の時間。


バスケは苦手だ。

ボールを持ったまま、どうしたらいいのかわからなくなる。


ちなみに、今この状況も。



「まさか、ミチルくんに会ったなんてさぁ!」

「しかも西くんとも仲良くなってるなんて!ヒナだって喋ったことないのにっ!」

「西くんも人気だもんね。」


次々に投げられる野次に、心が折れそうだ。

今回ばかりはあのちづちゃんですら、あたしの味方をしてくれない。



西くんに解放されたあたしを待っていたのは、明日香ちゃんたちからの尋問で。

観念したあたしは、昨日の出来事を全て話した。


もちろん、“アノコト”以外だけれど。



「ご、ごめんね。何か言いそびれちゃって…。」


あああ、ダメだ。
ウソをついてる訳じゃないのに、胸が苦しい…。



今まで…
と言ってもまだ2ヶ月しか経ってないけれど、明日香ちゃんたちに隠し事もウソもついたことない。

そのくらい、3人はあたしにとって大切なお友達で。


なのに、言えないって重圧に、あたしは押し潰されてしまいそうだった。





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