深想シンドローム


その言葉に、さらに熱が顔に集まってくる。


「熱でもあるの?」

「う、ううんっ!違うの!」


ドキドキとうるさい心臓。

そんなあたしをミチルくんも不思議そうに見てる。



「でも、本当に――、」


だからあたしは二人の視線から逃げるように

「じゃ、じゃあ!あたしもう行くね!」

と、西くんの言葉を遮り、校舎に向かって走り出した。



「え!?ミ、ミーコちゃん!」


西くんの呼び掛けにも、足を止めずに。






下駄箱に着くと、あたしは乱れた呼吸と共にその場へ座り込んだ。


「はぁ…、はぁ…っ、」


肺が、酸素を求めるようにドキドキと鼓動を速める。

でもそれは、さっき感じたモノとはまるで違う。


さっきのは
もっと、ぎゅって胸が苦しくなって。

なのに、全然嫌なドキドキじゃなかった。



「…もぉ…っ、何これぇ~…。」


初めての感覚に、膝へ顔を埋める。

だからあたしには、それが何なのかわからなかった。



このドキドキが、何を意味するのか。



あたしはまだ、知らない。






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