深想シンドローム
西くんの言葉に、違う部屋で漫画を読むミチルくんに視線を投げた。
その横顔はやっぱり整っていて。
だけど、凛としていて。
彼は人を惹き付ける存在感があるけれど、あたしたち女の子には近寄りがたい雰囲気がある。
でもきっと、それだけじゃないんだ。
じゃなきゃ西くんもわざわざここまでしないはず。
そう思っていると、ある程度ゴミを集め終えた西くんが言う。
「けどよかった。」
「…よかった?」
「うん。どうやら、エースはミーコちゃんのこと気に入ってるみたいだし。」
「えええっ!?」
ミチルくんが、あたしを!?
そんな……まさか!
すると、漫画を読んでいたミチルくんが突然西くんを呼んだ。
「西~、喉渇いた。」
「あ、じゃあ俺、何か買ってきますよ!」
「え!?ちょ、西くん!」
そそくさとミチルくんの言葉に従う西くん。
慌てて追い掛けると
「ミーコ」とソファーに座るミチルくんがあたしに顎を使って言った。
「お前は?」
「え?」
「何飲む。」
「え、えっと…、」
早く答えなきゃ怒られる!
意味もわからない焦燥感に駆られ、咄嗟に出たのは。
「オ、オレンジジュース…。」
そんなあたしに
「ガキだな、ミーコは。」
と、ミチルくんが笑った。