深想シンドローム


そんなこんなで、またしてもミチルくんと二人きり。

しかも、ミチルくんのお家で。




「………。」

ゴーっと音を立て、掃除機が絨毯を往復する。

緊張のせいか、どこを掃除機かけて、どこをかけてないのか忘れてしまった。

さっきから同じ所ばかり掃除してるような気もする。


だけど掃除機のスイッチは止めなかった。

いや、止められなかった。


止めてしまったら、緊張で胸が爆発するっ!…と思ったから。


とにかく早く帰って来て~、西くんっ!



「ミーコ。」

「はいいいいっ!」


そう思ってたのに
急な呼び掛けに、つい掃除機のスイッチを切ってしまったあたし。

ああああっ!


するとミチルくんは、くいっと顎であたしを呼んで言った。


「次、俺の部屋。」

「は、はい~…。」

やっぱりそこも掃除しなきゃいけないんだ…。


「俺はベランダでタバコでも吸ってっから。」

「タ、タバコ!?」

「あー?何だよ。」

「…い、いえ…すみません…。」


高校生がタバコ吸っちゃダメでしょー!?

と思いつつも、睨まれたら何も言えません。



仕方なく掃除機を手に、ドアノブに手を掛けた。


いざ、出陣っ!






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