深想シンドローム
するとミチルくんは「あー、」と小さく呟き、部屋の奥に落ちていた“何か”を拾い上げて言う。
「もしかして、これか?」
「え?」
すっと目の前に差し出された、あるモノ。
「な、なななな…っ!」
一気に顔中に熱が集まる。
真っ裸の女の人が、イヤラシイ顔でこちらを見つめている某DVD…。
そう、アダルトビデオだ。
二ヤリ、と口元を綻ばせるミチルくんの顔は、悪魔そのもので。
「ミーコも見てぇの?」
「みっ、見たくありませんっ!!!」
全身全霊で否定すれば、ミチルくんは何故か大爆笑。
「~~~っ!」
今にも顔から噴火しそうなくらい顔を赤くするあたし。
完全にからかわれてるっ!
「と、とにかく!掃除するんで退いて下さいっ!」
「はいはい。…くくっ!」
「いつまで笑ってるんですか!」
ふん、と鼻を鳴らしながら、掃除機のコードを引っ張った。
ミチルくんは
「んじゃ、頼むわ。」
と言いつつ、部屋を出て行った後も笑っていて。
んもーっ!!!
ミチルくんのバカーっ!!!
あたしは心の中でそう叫びながら、意地になって掃除機をかけ始めたのでした。