深想シンドローム
それにしても、意外だった。
最初にミチルくんに会った時は、怖そう…って言うか、正直すんごく怖くて。
だって突然西くんの首元を掴み上げるし、急に木を蹴ったりするし。
でもこうして話をするうちに、その印象はガラリと変わった気がする。
よく笑うし、からかって来るし。
…アダルトDVDも見るみたいだし。
それに―――。
『結婚する女は何があっても守ってみせるし、幸せにしてやる。』
…あの言葉が。
すごく、すごく胸に残っていて。
だから、何となく。
何となくだけど、ミチルくんに愛される人は幸せなんだろうな。
きっと大切にしてもらえるんだろうな、と思ったんだ。
「よっし!」
一通り掃除機をかけ
散らばっていた漫画を元に戻し、あたしはそこでようやく一息ついた。
元々殺風景な部屋だから、そんなに手間は掛からなかった。
そして換気の為に開けていた窓を閉めようと近付いた時、下に見えた明るい髪。
あ、西くんだ。
すると西くんもあたしに気付き、大袈裟なくらい手を振って来た。
だからあたしも手を振り返す。
それにしても西くん、ずいぶん遅かったな。
何してたんだろ?