深想シンドローム


しばらく3人でジュースを味わう。

そんな時、西くんは突然こんなこと言い出した。



「にしても、雨とか本当イヤになるよねー。」

「…イヤ?」

「うん。だって、ベタつくし傘差すの面倒だし。」

俺、雨って大っ嫌い!と西くんは再びコーラをがぶ飲みする。


それは雨好きのあたしにはちょっと痛いお言葉。

でも、雨が好きっていう人もそうそう居ないよね、と思っていると。



「俺は好きだけど。」

サイダーを飲んでいたミチルくんがポツリ、とそう呟いた。


え―――?


咄嗟にミチルくんに視線を向けるあたし。

一方の西くんは、どことなく納得出来ない様子でミチルくんへ訊ね始めた。



「えー、雨の何がいいんすかー?」

「何って、雰囲気。」

「雰囲気…っすか?」

「あぁ。よくね?」

雨の音聞いてると落ち着く、とミチルくん。


でもやっぱり、西くんは理解出来ないらしい。


「エースって変わってますよね~。」

「そうか?普通だろ。」


だから、思わず口走ってしまった。

言うつもりなんてなかったのに。



「あ、あたしも!あたしも好きです!」



何故か勝手に、口が動いていた。






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