深想シンドローム
こうなったら、神様に雨乞いするしかないっ!
そう意気込んでいると。
「ミチルくんは、体育祭出るのかなぁ。」
と、何の前触れもなく、ヒナちゃんが頬杖をついて言う。
さっきとは違う意味で、ギクリと心臓が跳ね上がった。
「あ~、どうなんだろー?」
「ヒナが思うに、出ないかなとは思うんだけど。」
それぞれが憶測で話す中
隣に居た明日香ちゃんが、すかさずこちらを見てくる。
「みぃこ知ってる?」
「えっ!?…っげほ、げほっ!」
何となくわかってはいたけれど、案の定むせてしまった。
実はミチルくんの家に行ったこと、3人に話していないあたし。
これといった理由はないけれど、話してもどうせ『ズルイ!』とか言って怒られるから。
むしろ、ただコキ使われただけだし。
言う必要ないかなぁ、なんてね、うん。
だからあたしは
「さ、さあ…どうだろう、わかんないや。」
そう言ってその場を切り抜ける。
「そっかぁ。でも見たいな、ミチルくんの運動してるとこ!」
「ヒナも見たーいっ!」
すると、盛り上がってる二人を差し置いて、突然ちづちゃんがこんなことを言い出した。
「でもミチルくんが留年になっちゃった理由って、確か体育祭じゃなかったっけ?」