深想シンドローム
頭の中にモヤがかかったみたい。
真っ白になって、どうしようもなく胸が痛かった。
ミチルくんの思いとか
学校側が出した条件とか
お姉さんの気持ちとか
北高の人たちの幼稚な行動とか
全てが、絡みついたみたいにぐちゃぐちゃになって。
「だから、エースは体育祭出な、」
「そんなのおかしいよ!!!」
気が付けば、あたしはそう口にしていた。
爪が食い込むくらい、手のひらを握り締める。
「…そんなの、間違ってる……っ!」
「……ミーコちゃん、」
ミチルくんは、何も悪くないのに。
悪いのは明らかに北高の人たちなのに。
人は人を傷つける為に生まれたの?
この手は人を傷つける為にあるの?
そんなの、絶対違う。
絶対間違ってる。
「あたし、行って来るっ!」
「え!?あ、ちょ、ミーコちゃん!」
誰もミチルくんを守ってくれないなら
助けてくれないなら
あたしが、この手で必ず。