深想シンドローム


どうすれば避けることが出来ただろう。

まさか、体育祭の日に北高の人たちが襲撃してくるなんて。


そんなこと、誰にもわかるはずがない。

わかる訳、ないんだから。




あたしの言葉に
先生は苦い顔を維持したまま口にする。


「お前がアイツとどうゆう関係なのかは知らないけど…、」


はぁ、と困ったように

「野崎を体育祭に出す訳にはいかない。」

そう言って、立ち上がった。



「どうしてですか!?」

あたしは負けじと職員室を出てゆく先生を追い掛け、食い下がる。


「どうしても何も、そうゆう約束なんだ。」

「でも、ミチルくんだって本当は――、」

「望月。」


ピタリ、と先生の足が止まる。

振り返った先生は厳しい顔であたしを見下ろしていた。


そんな先生に、つい怯んでしまうあたし。


「いいか、考えてもみろ。ここで野崎の参加を許可して、また同じことが起きたらどうする?」

「…そ、それは、」

「その時、お前が責任取れるのか?」


取れないだろ?
そう訊かれ、あたしはそれ以上何も言えなくなってしまう。

そして黙り込んでしまったあたしの肩を叩き、先生は諭すように言った。



「これは仕方のないことなんだよ、望月。」







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