深想シンドローム
「…はぁ~、」
しょんぼりと肩を落としたまま、あたしは教室へと続く廊下を歩く。
結局、ミチルくんの体育祭参加の許可はもらえなかった。
簡単に許可してもらえるとは思ってなかったけれど
先生の言ってることは間違ってないからこそ、もうそれ以上どうしようも出来なくて。
確かに、また同じことが起きたら…。
そう思うのは当たり前だ。
それが、みんなで作り上げる行事であれば尚更。
そしてその時にまた傷つくのは、誰でもないミチルくん自身であって。
「もぉ~…っ。」
自分の無力さや非力さが、無性に腹立だしくなってくる。
“仕方ない”
先生の言葉が、何度も何度も頭の中を駆け巡ってゆく。
…でも、本当に?
本当に、それは“仕方ないこと”なの?
あたしには、やっぱり何も出来ないの?
「あ、みぃこ!」
教室に戻ったあたしに、明日香ちゃんたちが駆け寄って来てくれた。
「んもー、みぃこってば授業サボってばっかじゃない?」
「そうだよー!ヒナなんてこう見えてちゃんと出てるんだからねー!」
「…ちょっと待って。」
矢継ぎ早に喋るみんなに、ちづちゃんがあたしの顔を覗き込む。
「…どした?何かあったの?」
そう言ってくれる声が優しすぎて。
「ううーっ!」
「ええええ!?ちょ、ちょっと何よ急にー!」
教室だということも忘れ、あたしは声をあげて泣いてしまった。