深想シンドローム


「そうゆうことかぁ。」


都合のいいことに、6限目は自習だった。

あたしたちは一番後ろである明日香ちゃんの席に集まり、全ての出来事を報告。


それを聞いたみんなの顔が、しかめっ面になってる。

当事者であるあたしはティッシュ片手に、ぐずぐずと鼻を鳴らして続けた。



「でも…、おかしいじゃん…っ。」

「うん。」

「だって、これからずっと…ミチルくんは行事に参加もせず、思い出もなく、ただ卒業しちゃうってことでしょ…?」

「そうだね…。」

「そんなの、ヒドすぎる…、」

「…うん。」



そう、体育祭だけじゃない。


ミチルくんは
文化祭も、修学旅行も、全ての行事に参加出来ないんだ。


それのどこが、楽しいと思える?


学校は、勉強する為だけの場所じゃないはず。

友達をたくさん作って
色んなことを経験して、大人に近付いて。


誰だってたくさんの思い出を持って、卒業する資格があるはずなのに。




「そんなの、楽しいはずない…っ。」




それをミチルくんから奪う権利は

誰にもないのに―――。







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