王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
第1章 王宮図書館
王宮図書館。
小説や詩集という文芸作品だけではなく、各地から集められた研究論文。それらがぎっしりと並んでいる。
王国の叡智が蓄積している場所と言ってもよい。
しかしそれも利用すべきものがいなくては話にならないというのに、王宮内に造られためか、もともと利用者を想定していないのか、出入りできるのはごく限られたものでしかない。いつもは人の姿は見られず閑散としたものである。
とはいえ、さすがに今はドラゴン来襲の火急時、呼び集められた戦士たちには門戸が開かれていた。
「あんさん、こんなとこで何してるん?」
分厚い本を開いて集中していたサレンスに上から声が掛けられた。
不思議なしゃべり口調だが、あきらかに若い女性の声だ。
顔を上げると、そこにはマントのフードを目深に被った人物がいた。腰を掛けていたサレンスはちょうど彼女を下から見上げる格好になる。口に銜えた繊細な造りの煙管が目を引く。顔はよく見えないがフードの奥から金色に光る瞳が見えた。奇妙な胸騒ぎを引き起こすような不思議な色だった。
「王国ファンタジア災害の歴史、毒物学と火山、こりゃ禁書やないか、よう出してもらえたな」
彼女はサレンスの前の机に無造作に積み重ねられた本の題名を読みあげる。
「ああ、出してくれないと燃やしてやると言ってみたら出てきた」
小説や詩集という文芸作品だけではなく、各地から集められた研究論文。それらがぎっしりと並んでいる。
王国の叡智が蓄積している場所と言ってもよい。
しかしそれも利用すべきものがいなくては話にならないというのに、王宮内に造られためか、もともと利用者を想定していないのか、出入りできるのはごく限られたものでしかない。いつもは人の姿は見られず閑散としたものである。
とはいえ、さすがに今はドラゴン来襲の火急時、呼び集められた戦士たちには門戸が開かれていた。
「あんさん、こんなとこで何してるん?」
分厚い本を開いて集中していたサレンスに上から声が掛けられた。
不思議なしゃべり口調だが、あきらかに若い女性の声だ。
顔を上げると、そこにはマントのフードを目深に被った人物がいた。腰を掛けていたサレンスはちょうど彼女を下から見上げる格好になる。口に銜えた繊細な造りの煙管が目を引く。顔はよく見えないがフードの奥から金色に光る瞳が見えた。奇妙な胸騒ぎを引き起こすような不思議な色だった。
「王国ファンタジア災害の歴史、毒物学と火山、こりゃ禁書やないか、よう出してもらえたな」
彼女はサレンスの前の机に無造作に積み重ねられた本の題名を読みあげる。
「ああ、出してくれないと燃やしてやると言ってみたら出てきた」