王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
第3章 編成の朝
今にも降りだしそうな分厚い雲が空を覆っていた。
朝だと言うのに、薄暗い。
割り当てられた宿舎からセツキとレジィを連れて、前庭に出たサレンスは、あっと小さな悲鳴じみた声を上げ、いきなり足を止めた。小さな従者と雪狼の後に隠れるように蹲る。
「あれ? サレンス様。お腹でも痛いんですか?」
心配げに覗き込むレジィに、サレンスは己の唇の前に人差し指を立てて囁く。
「隠れているんだ」
「はあ?」
レジィは青い瞳を丸くして気の抜けた声を出す。
と、声が掛けられる。
「おはようさん、今日はええ天気になりそうやな」
雷電の民クラウンである。
相変わらずフードを目深に被り、怪しいことこの上ないが、振り返ったレジィはいつもと変わらず行儀よく挨拶を返す。
「おはようございます。フードのお姉さん。でも、雨が降りそうですよ」
「せやから、ええ天気になりそうなんやねん」
「え? そうですか?」
納得いかないと言う顔をしたレジィを無視してクラウンは、雪狼の後に隠れたつもりのサレンスの銀色の頭に声を掛ける。
「で、あんさん、何してるん?」
仕方なさそうに顔が上げられ、渋々とサレンスは立ち上がった。
「隠れてたんだ」
「誰からや?」
「君からだ」
「なんやねん。お陰はんで昨日はええ商売できたから、礼でも言おうかぁと思って来たんのに」
「それはご丁寧に」
感情の入らない声で返される。
朝だと言うのに、薄暗い。
割り当てられた宿舎からセツキとレジィを連れて、前庭に出たサレンスは、あっと小さな悲鳴じみた声を上げ、いきなり足を止めた。小さな従者と雪狼の後に隠れるように蹲る。
「あれ? サレンス様。お腹でも痛いんですか?」
心配げに覗き込むレジィに、サレンスは己の唇の前に人差し指を立てて囁く。
「隠れているんだ」
「はあ?」
レジィは青い瞳を丸くして気の抜けた声を出す。
と、声が掛けられる。
「おはようさん、今日はええ天気になりそうやな」
雷電の民クラウンである。
相変わらずフードを目深に被り、怪しいことこの上ないが、振り返ったレジィはいつもと変わらず行儀よく挨拶を返す。
「おはようございます。フードのお姉さん。でも、雨が降りそうですよ」
「せやから、ええ天気になりそうなんやねん」
「え? そうですか?」
納得いかないと言う顔をしたレジィを無視してクラウンは、雪狼の後に隠れたつもりのサレンスの銀色の頭に声を掛ける。
「で、あんさん、何してるん?」
仕方なさそうに顔が上げられ、渋々とサレンスは立ち上がった。
「隠れてたんだ」
「誰からや?」
「君からだ」
「なんやねん。お陰はんで昨日はええ商売できたから、礼でも言おうかぁと思って来たんのに」
「それはご丁寧に」
感情の入らない声で返される。