王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
「綺麗な角ですね」
少年の素直な感嘆の声に、クラウンはがっくりうなだれて見せる。
それはつい前日に聞いた台詞とそっくり同じだったのだ。
「主従そろって褒めるとこはそこなんかい」
「主人のしつけがいいからな」
サレンスの台詞にすばやく反応したのはレジィの方だった。
「何を言っているんですか。サレンス様のしつけをしているのは僕の方です」
「私は雪狼か」
「以下です。セツキだったら主人の言うことは絶対です」
「それじゃ、どっちが主人かわからんだろう」
「そう言われればそうですね」
「そこは肯定するな。第一、私の従者として押しかけたのはお前のほうだろう」
「そうだったかな」
とぼけてみせるレジィに、サレンスが肩を落とす。
「おまえ、その若さで健忘症か?」
「サレンス様、酷いです~」
「酷いついでに、先に行って席を取っておいてくれ。私の従者なんだろう?」
「わかりました」
むくれながらもレジィは駆け出しかけて振り向く。
「あっ、サレンス様が女の人に付いていかないよう見張っていてね、お姉さん」
「わしがかいっ?」
口を挟む隙を許さない主従の言い合いを呆然と見守っていたクラウンだが、いきなりレジィに名指しされて驚かないまでも反応してしまう。
「はいっ!」
元気な返事が返ってきて、今度こそ軽い足取りで少年が駆け出していく。
サレンスが足元の雪狼の背を軽く叩くと、セツキは心得たものでレジィの後を追って走り出していく。
「あんさん、ほんま過保護やな」
「君こそレジィに見込まれたな」
少年の素直な感嘆の声に、クラウンはがっくりうなだれて見せる。
それはつい前日に聞いた台詞とそっくり同じだったのだ。
「主従そろって褒めるとこはそこなんかい」
「主人のしつけがいいからな」
サレンスの台詞にすばやく反応したのはレジィの方だった。
「何を言っているんですか。サレンス様のしつけをしているのは僕の方です」
「私は雪狼か」
「以下です。セツキだったら主人の言うことは絶対です」
「それじゃ、どっちが主人かわからんだろう」
「そう言われればそうですね」
「そこは肯定するな。第一、私の従者として押しかけたのはお前のほうだろう」
「そうだったかな」
とぼけてみせるレジィに、サレンスが肩を落とす。
「おまえ、その若さで健忘症か?」
「サレンス様、酷いです~」
「酷いついでに、先に行って席を取っておいてくれ。私の従者なんだろう?」
「わかりました」
むくれながらもレジィは駆け出しかけて振り向く。
「あっ、サレンス様が女の人に付いていかないよう見張っていてね、お姉さん」
「わしがかいっ?」
口を挟む隙を許さない主従の言い合いを呆然と見守っていたクラウンだが、いきなりレジィに名指しされて驚かないまでも反応してしまう。
「はいっ!」
元気な返事が返ってきて、今度こそ軽い足取りで少年が駆け出していく。
サレンスが足元の雪狼の背を軽く叩くと、セツキは心得たものでレジィの後を追って走り出していく。
「あんさん、ほんま過保護やな」
「君こそレジィに見込まれたな」