王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
第4章 王宮の少女
「もうサレンス様、何してるんだよ」
王宮に入る扉の前で、レジィはセツキと一緒にサレンスを待ち受けていた。
つい勢いで先に来て受付を済ませたまではよかったのだが、待てど暮らせどサレンスどころか雷電の民の人もあらわれない。彼女なら、サレンスよりずっとしっかりしていそうだったから、任せたのが間違いだったのか。
「おい、坊や、ご主人様はまだ来ないか」
扉を護る衛兵の一人が声をかけてくる。王宮に何度が出入りしているうちに顔馴染みになった人だった。
「はい、まったく手がかかるんだから」
「坊やも苦労するなあ」
「はい、苦労しっぱなしです」
とサレンスがいたら、何も全力で肯定するな、と愚痴りそうなことを言い放つ。
「僕、やっぱり迎えに行ってきます。セツキ、おいで」
「うおん」
苛々としていたレジィと違って、悠々と地面に寝そべっていた雪狼は一声吠えると一瞬で起き上がり、すでに駆け出したレジィを追う。
「おい、坊や。雨が降り出しそうだから……」
衛兵がレジィの背中に声を掛けるが届いた風はない。
みるみる小さな姿が見えなくなっていく。
今朝からの曇り空はますます進み、真っ黒い雷雲が空を覆っていた。
雷鳴が遠く不気味に響く。
今にも酷い雨が降り出しそうだった。
王宮に入る扉の前で、レジィはセツキと一緒にサレンスを待ち受けていた。
つい勢いで先に来て受付を済ませたまではよかったのだが、待てど暮らせどサレンスどころか雷電の民の人もあらわれない。彼女なら、サレンスよりずっとしっかりしていそうだったから、任せたのが間違いだったのか。
「おい、坊や、ご主人様はまだ来ないか」
扉を護る衛兵の一人が声をかけてくる。王宮に何度が出入りしているうちに顔馴染みになった人だった。
「はい、まったく手がかかるんだから」
「坊やも苦労するなあ」
「はい、苦労しっぱなしです」
とサレンスがいたら、何も全力で肯定するな、と愚痴りそうなことを言い放つ。
「僕、やっぱり迎えに行ってきます。セツキ、おいで」
「うおん」
苛々としていたレジィと違って、悠々と地面に寝そべっていた雪狼は一声吠えると一瞬で起き上がり、すでに駆け出したレジィを追う。
「おい、坊や。雨が降り出しそうだから……」
衛兵がレジィの背中に声を掛けるが届いた風はない。
みるみる小さな姿が見えなくなっていく。
今朝からの曇り空はますます進み、真っ黒い雷雲が空を覆っていた。
雷鳴が遠く不気味に響く。
今にも酷い雨が降り出しそうだった。