王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
少女がレジィを連れて入ったのは、豪華なしつらえをした小部屋だった。
柔らかな革張りのどっしりしたソファ。
黒檀のテーブルの上には、高価そうな茶器。
敷き詰められた絨毯は毛足が長く、足先が埋もれそうなもの。
天井から下がるシャンデリアは輝く水晶製。
壁は金糸銀糸の織り込まれた豪奢な綴れ織に覆われている。
王族や王族に準ずる高位の貴族かが使う部屋だろうとも推測できる。レジィのような子どもが紛れ込んでいいところではないはずだ。
その証拠にここに来る道すがら、立ち番の衛兵も増え、警備も厳しくなっている様子が見て取れた。だが、それでいて衛兵たちはなぜか彼らには目もくれようとはしなかった。まるでそこにいないかのように。
「こっちよ」
片側の壁際、豪華な綴れ織の前に、高価そうな衣装が汚れるのも気に掛けず、絨毯の上に座り込んだ少女がレジィを呼ぶ。
綴れ織は間仕切りでもあるのだろうか。風をはらんで揺れている。
「何をしてるの。さっさとなさい」
幼くとも命令に慣れた高圧的な態度に、レジィはため息をひとつもらしながらも従う。
頭の半分はいまだ姿を見せないサレンスのことを案じてはいた。それこそさっさとこの高貴な生まれらしい少女の気まぐれを満たして、彼を探しに行ったほうがよさそうだった。
しかたなく少女の側に膝をつくと、彼女は綴れ織の合わせ目をかき分け、そこに隙間を作った。
「見て」
少女はひそやかに囁いた。
目前に広がった光景にレジィは言葉を失った。
柔らかな革張りのどっしりしたソファ。
黒檀のテーブルの上には、高価そうな茶器。
敷き詰められた絨毯は毛足が長く、足先が埋もれそうなもの。
天井から下がるシャンデリアは輝く水晶製。
壁は金糸銀糸の織り込まれた豪奢な綴れ織に覆われている。
王族や王族に準ずる高位の貴族かが使う部屋だろうとも推測できる。レジィのような子どもが紛れ込んでいいところではないはずだ。
その証拠にここに来る道すがら、立ち番の衛兵も増え、警備も厳しくなっている様子が見て取れた。だが、それでいて衛兵たちはなぜか彼らには目もくれようとはしなかった。まるでそこにいないかのように。
「こっちよ」
片側の壁際、豪華な綴れ織の前に、高価そうな衣装が汚れるのも気に掛けず、絨毯の上に座り込んだ少女がレジィを呼ぶ。
綴れ織は間仕切りでもあるのだろうか。風をはらんで揺れている。
「何をしてるの。さっさとなさい」
幼くとも命令に慣れた高圧的な態度に、レジィはため息をひとつもらしながらも従う。
頭の半分はいまだ姿を見せないサレンスのことを案じてはいた。それこそさっさとこの高貴な生まれらしい少女の気まぐれを満たして、彼を探しに行ったほうがよさそうだった。
しかたなく少女の側に膝をつくと、彼女は綴れ織の合わせ目をかき分け、そこに隙間を作った。
「見て」
少女はひそやかに囁いた。
目前に広がった光景にレジィは言葉を失った。