王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
建物の陰、半身を壁に寄りかかるようにして手足を投げ出している小さな少年の姿が見えた。それは、まるで命のない壊れた人形のようでぎょっとさせられる光景だった。
先に着いたセツキが鼻先で、少年の青白い頬をつついていたが、眼を覚ます気配はない。
王都でここ数日のうちに顔馴染みになった<氷炎の民>の少年のあきらかな異変にグレードは医師として反応していた。
「レジィ君!」
思わず駆け寄ると、セツキは身を引き、場所をグレードに譲る。
小さな体を抱き上げて揺さぶる。
触れた体は冷え切っている。
しかし。
少年の長い銀のまつげが揺れ、青い瞳が姿を現すのに、ほっと一息をつく。
「こんなところで眠っていると風邪を引くよ?」
安心させるように優しく声を掛けると、少年は青い瞳を瞬いた。
「えーと、あっ、グレードさん? あれ、僕、寝てました?」
「そりゃもう、ぐっすりと」
一呼吸、後から来たバジルが混ぜっ返すように答える。
「え、じゃ、あれは夢?」
かくんと首をかしげる様はいまだ心ここにあらずと言った風情だ。
「君のご主人様はどうしたの?」
「ああっ、サレンス様、まだ来てないんです。迎えに行こうとして、あれ?」
いつ寝ちゃったんだろうと、小さくつぶやく姿にグレードは胸騒ぎを覚える。
先に着いたセツキが鼻先で、少年の青白い頬をつついていたが、眼を覚ます気配はない。
王都でここ数日のうちに顔馴染みになった<氷炎の民>の少年のあきらかな異変にグレードは医師として反応していた。
「レジィ君!」
思わず駆け寄ると、セツキは身を引き、場所をグレードに譲る。
小さな体を抱き上げて揺さぶる。
触れた体は冷え切っている。
しかし。
少年の長い銀のまつげが揺れ、青い瞳が姿を現すのに、ほっと一息をつく。
「こんなところで眠っていると風邪を引くよ?」
安心させるように優しく声を掛けると、少年は青い瞳を瞬いた。
「えーと、あっ、グレードさん? あれ、僕、寝てました?」
「そりゃもう、ぐっすりと」
一呼吸、後から来たバジルが混ぜっ返すように答える。
「え、じゃ、あれは夢?」
かくんと首をかしげる様はいまだ心ここにあらずと言った風情だ。
「君のご主人様はどうしたの?」
「ああっ、サレンス様、まだ来てないんです。迎えに行こうとして、あれ?」
いつ寝ちゃったんだろうと、小さくつぶやく姿にグレードは胸騒ぎを覚える。