王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
「それで」
グレードの視線がアウルたちと作業を続ける小さな少年に流れる。
「やっぱり本気なんですか」
「反対か」
「いえ、あの……」
グレードは口ごもる。
サレンスとレジィ、この二人には単に主人と従者と言うだけではない絆がある。
彼の癒しの民としての勘とでも言うべきものは、彼らが離れ離れにならない方がよいことを告げてはいても、グレードにはそれをうまく表現するすべがない。
沈黙するしかなかった。
「君には面倒をかける。お礼といっては何だが、これを使ってほしい」
銀髪の青年は懐から羊皮紙に包んだ棒状の物を差し出す。
「贈り物に刃物はどうかと思ったんだが、火傷は壊死した組織を切除した方が治りがいい」
グレードは黄白色の瞳を瞬いた。
「どうしてそのことを」
「我々は炎を操る民だ。実は火傷とは無縁でもなくてね。氷炎の民の魔法の炎で鍛えたものだ。切れ味はいいはずだよ」
「柄はわしが作ったんよ」
ひょこりとサレンスの後から顔を出してクラウンが言う。
「ありがたく頂きます」
受け取った包みを開いてみれば、グレードたち癒しの民には見慣れた医療用のナイフが出てきた。
青光りする刃先は限界まで薄く作られているが、炎で鍛えることで強度を付加したものだろう。握ってみればしっくりと手に馴染む。
「ほんとうはもう数本あった方がいいんだろうが、さすがにそこまで作る時間はなかった」
「いえ、ありがとうございます。助かります」
大事そうに肩から下げたバッグに仕舞いこむグレードを横目にサレンスが少年を呼ぶ。
「レジィ」
「はい。何か御用ですか」
梱包作業をすませたレジィがサレンスの呼び声に軽い足取りで側に来る。
グレードの視線がアウルたちと作業を続ける小さな少年に流れる。
「やっぱり本気なんですか」
「反対か」
「いえ、あの……」
グレードは口ごもる。
サレンスとレジィ、この二人には単に主人と従者と言うだけではない絆がある。
彼の癒しの民としての勘とでも言うべきものは、彼らが離れ離れにならない方がよいことを告げてはいても、グレードにはそれをうまく表現するすべがない。
沈黙するしかなかった。
「君には面倒をかける。お礼といっては何だが、これを使ってほしい」
銀髪の青年は懐から羊皮紙に包んだ棒状の物を差し出す。
「贈り物に刃物はどうかと思ったんだが、火傷は壊死した組織を切除した方が治りがいい」
グレードは黄白色の瞳を瞬いた。
「どうしてそのことを」
「我々は炎を操る民だ。実は火傷とは無縁でもなくてね。氷炎の民の魔法の炎で鍛えたものだ。切れ味はいいはずだよ」
「柄はわしが作ったんよ」
ひょこりとサレンスの後から顔を出してクラウンが言う。
「ありがたく頂きます」
受け取った包みを開いてみれば、グレードたち癒しの民には見慣れた医療用のナイフが出てきた。
青光りする刃先は限界まで薄く作られているが、炎で鍛えることで強度を付加したものだろう。握ってみればしっくりと手に馴染む。
「ほんとうはもう数本あった方がいいんだろうが、さすがにそこまで作る時間はなかった」
「いえ、ありがとうございます。助かります」
大事そうに肩から下げたバッグに仕舞いこむグレードを横目にサレンスが少年を呼ぶ。
「レジィ」
「はい。何か御用ですか」
梱包作業をすませたレジィがサレンスの呼び声に軽い足取りで側に来る。