王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
東の空が金色に燃え上がり出していた。
日の出が近づいてきているのだ。
鐘楼の鐘が派手に打ち鳴らされる。
「整列! 王妹殿下のお目見えである」
前にそびえる白亜の王宮からせり出した手すりつきの露台に火が灯る。
柔らかな金色の光の中、一人の少女の姿が浮かび上がった。
きらめく宝冠を戴く金色の髪が、まだあどけない顔を縁取っている。
青のドレスに、白銀のマントを羽織った姿はいかにも幼げだ。
前庭にざわめきが走る。
グレードの側でレジィは小さく息を飲んだ。
青い瞳がこぼれんばかりに瞠られる。
「王妹? 年、離れすぎじゃね?」
「そうよねえ」
王と見えなかったサレンスとクラウンはともかく、アウルたち森の民が首をひねるのも当然である。
まだ幼い。
十歳になったレジィよりもまだ二、三歳は年下だろう。
あの老いさらばえた国王の妹というにはいくらなんでも幼すぎる。
ただ遠目にもわかる強い光をたたえた翠の瞳が、王との相似を物語っていた。
少女は前庭に集まった戦士たちをゆっくりと見回した。
口を開く。
幼いが、凛としたよく響く声でもあった。
「まずは王の不在を詫びよう。国王陛下はこの場に出席できぬこと心苦しく思し召しであられる。だが、時は来た」
日が昇る。
朝日が少女の金色の髪を輝かせる。
彼女は朱塗りの采配を持ち上げる。
「我らがファンタジア王国の危機に集った誉れ高き戦士たちよ。いざ出陣せよっ!」
紅い軌跡を描いて采配が振り下ろされると同時に、再び鐘が打ち鳴らされた。
出陣の鐘である。
日の出が近づいてきているのだ。
鐘楼の鐘が派手に打ち鳴らされる。
「整列! 王妹殿下のお目見えである」
前にそびえる白亜の王宮からせり出した手すりつきの露台に火が灯る。
柔らかな金色の光の中、一人の少女の姿が浮かび上がった。
きらめく宝冠を戴く金色の髪が、まだあどけない顔を縁取っている。
青のドレスに、白銀のマントを羽織った姿はいかにも幼げだ。
前庭にざわめきが走る。
グレードの側でレジィは小さく息を飲んだ。
青い瞳がこぼれんばかりに瞠られる。
「王妹? 年、離れすぎじゃね?」
「そうよねえ」
王と見えなかったサレンスとクラウンはともかく、アウルたち森の民が首をひねるのも当然である。
まだ幼い。
十歳になったレジィよりもまだ二、三歳は年下だろう。
あの老いさらばえた国王の妹というにはいくらなんでも幼すぎる。
ただ遠目にもわかる強い光をたたえた翠の瞳が、王との相似を物語っていた。
少女は前庭に集まった戦士たちをゆっくりと見回した。
口を開く。
幼いが、凛としたよく響く声でもあった。
「まずは王の不在を詫びよう。国王陛下はこの場に出席できぬこと心苦しく思し召しであられる。だが、時は来た」
日が昇る。
朝日が少女の金色の髪を輝かせる。
彼女は朱塗りの采配を持ち上げる。
「我らがファンタジア王国の危機に集った誉れ高き戦士たちよ。いざ出陣せよっ!」
紅い軌跡を描いて采配が振り下ろされると同時に、再び鐘が打ち鳴らされた。
出陣の鐘である。