王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
いまだ目覚めぬ少年の様子を気にしつつも、グレードたちは午後の診療を行っていた。
と。
手荒くドアが開かれる。
獅子の紋章の入った制服から王宮仕えの衛兵と知れるものが二人、診察室に飛び込んできた。一人ががなり立てる。
「レジアス殿はおられるか。国王陛下、直々のお呼びである」
診察途中であったグレードは、彼らに冷ややかな眼差しをむけただけである。
しかたなくバジルが答える。
「はあ、そんな名前のものはいないなあ」
「そんなはずはない」
「いないものはいない、診察の邪魔だよ、あんたら……」
押し問答をしつつ彼らを診察室の外に追い出そうとするバジル。
と、控え室へとつづく扉が開かれた。
少年の姿が現れる。
「レジィ君……」
小さく彼を呼ぶグレードを無視して、レジィは衛兵へと青い瞳をぴたりと向ける。
「レジアスは僕です」
一瞬、衛兵たちは戸惑ったような眼差しを交し合ったが、少年の落ち着いた態度に意を決したようだった。
「では、ご足労願おう」
「はい」
彼らに着いていこうと言う少年の足取りはどこか覚束ない。しかし、それも無理もないのだ。つい先刻まで意識がないまま仮死状態にあったのだ。あわててグレードが少年を呼び止める。
「レジィ君っ!」
それに白銀の髪の少年はやわらかく微笑った。
「レジアスは僕の正式の名です。レジィは愛称。僕は大丈夫ですよ。お仕事を続けてください」
「けどっ!」
少年をとどめようとするグレードを今度はバジルが制する。
「落ち着け、グレード。オレたちはオレたちにできることをするきゃっねぇよ。あいつもそうなんじゃねぇか?」
と視線で、すでに衛兵たちに連れ出されようとしているレジアスことレジィを示す。
「はい」
癒しの民の少年はやっと頷いた。
と。
手荒くドアが開かれる。
獅子の紋章の入った制服から王宮仕えの衛兵と知れるものが二人、診察室に飛び込んできた。一人ががなり立てる。
「レジアス殿はおられるか。国王陛下、直々のお呼びである」
診察途中であったグレードは、彼らに冷ややかな眼差しをむけただけである。
しかたなくバジルが答える。
「はあ、そんな名前のものはいないなあ」
「そんなはずはない」
「いないものはいない、診察の邪魔だよ、あんたら……」
押し問答をしつつ彼らを診察室の外に追い出そうとするバジル。
と、控え室へとつづく扉が開かれた。
少年の姿が現れる。
「レジィ君……」
小さく彼を呼ぶグレードを無視して、レジィは衛兵へと青い瞳をぴたりと向ける。
「レジアスは僕です」
一瞬、衛兵たちは戸惑ったような眼差しを交し合ったが、少年の落ち着いた態度に意を決したようだった。
「では、ご足労願おう」
「はい」
彼らに着いていこうと言う少年の足取りはどこか覚束ない。しかし、それも無理もないのだ。つい先刻まで意識がないまま仮死状態にあったのだ。あわててグレードが少年を呼び止める。
「レジィ君っ!」
それに白銀の髪の少年はやわらかく微笑った。
「レジアスは僕の正式の名です。レジィは愛称。僕は大丈夫ですよ。お仕事を続けてください」
「けどっ!」
少年をとどめようとするグレードを今度はバジルが制する。
「落ち着け、グレード。オレたちはオレたちにできることをするきゃっねぇよ。あいつもそうなんじゃねぇか?」
と視線で、すでに衛兵たちに連れ出されようとしているレジアスことレジィを示す。
「はい」
癒しの民の少年はやっと頷いた。