王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
第12章 決戦
空に浮かぶ太陽は西に傾きかけていた。
崖下の青く澄んだ湖のほとりに眠る金色のドラゴンは、体の下にたくし込んでいた手足を今や長々と伸ばし、巨大な体を横倒しにして眠っている。完全に警戒を解いている体である。熟睡しているのだ。
そのドラゴンの頭上に影が差す。
色とりどりの絹布を縫い合わせた大きな円球の袋が中空に浮いている。
下に縫い付けられた縄で茶色の大きな瓶が二つ、ぶらさげられている。
温められた空気は上に昇る。
巨大な袋の中身は、氷炎の民の力で温められた空気だった。
「もうちょい上や」
「ああ」
風を読むクラウンの指示で、サレンスが巨大な袋の中の温度を調節し、上空を吹く風に乗せる。
彼の温度を調節する力だけでは、横への移動は難しかったのだ
袋はついにドラゴンの真上に達した。
「アウル、サハナ?」
袋に眼をやったままサレンスが隣で待機している森の民二人の名を呼ぶ。
「いつでもいいぜ」
「わたしもです」
背中に背負った大剣の塚に手を触れながら、いつでも飛び出せる構えのアウル。
弓の弦を引き、矢をつがえるサハナ。
緊張しているのか手がかすかに震えている。
「クラウン?」
呼ばれた雷電の民の少女は、いつものように煙管をくわえたままじっと空を見上げている。
青い空にはところどころ白い雲が浮かんでいるだけだった。
「雲が少ないな。そやけど、何とかなるやろ」
雷電の民の中でも稀少な力を持つクラウンは雷を喚ぶことができる。けれど、まったく雲がないところで喚ぶのでは力を浪費し過ぎるが、できないわけでもない。
「悪いな」
「気にせんとき。あんさんかて他人のこと言えんやろ」
この時点で氷炎の民の青年はすでに力を使っている。空気を温め袋の中に送り込んだ。そして今は袋の中の気温を調節をしている。
しかし、サレンスはクラウンの言葉に口の端を上げただけだった。
「よし、始めるぞ」
言葉と同時にサレンスは瓶を下げている縄に力を集中させる。
縄はあっという間に焼き切られ、瓶がドラゴンの真上に落ちた。
崖下の青く澄んだ湖のほとりに眠る金色のドラゴンは、体の下にたくし込んでいた手足を今や長々と伸ばし、巨大な体を横倒しにして眠っている。完全に警戒を解いている体である。熟睡しているのだ。
そのドラゴンの頭上に影が差す。
色とりどりの絹布を縫い合わせた大きな円球の袋が中空に浮いている。
下に縫い付けられた縄で茶色の大きな瓶が二つ、ぶらさげられている。
温められた空気は上に昇る。
巨大な袋の中身は、氷炎の民の力で温められた空気だった。
「もうちょい上や」
「ああ」
風を読むクラウンの指示で、サレンスが巨大な袋の中の温度を調節し、上空を吹く風に乗せる。
彼の温度を調節する力だけでは、横への移動は難しかったのだ
袋はついにドラゴンの真上に達した。
「アウル、サハナ?」
袋に眼をやったままサレンスが隣で待機している森の民二人の名を呼ぶ。
「いつでもいいぜ」
「わたしもです」
背中に背負った大剣の塚に手を触れながら、いつでも飛び出せる構えのアウル。
弓の弦を引き、矢をつがえるサハナ。
緊張しているのか手がかすかに震えている。
「クラウン?」
呼ばれた雷電の民の少女は、いつものように煙管をくわえたままじっと空を見上げている。
青い空にはところどころ白い雲が浮かんでいるだけだった。
「雲が少ないな。そやけど、何とかなるやろ」
雷電の民の中でも稀少な力を持つクラウンは雷を喚ぶことができる。けれど、まったく雲がないところで喚ぶのでは力を浪費し過ぎるが、できないわけでもない。
「悪いな」
「気にせんとき。あんさんかて他人のこと言えんやろ」
この時点で氷炎の民の青年はすでに力を使っている。空気を温め袋の中に送り込んだ。そして今は袋の中の気温を調節をしている。
しかし、サレンスはクラウンの言葉に口の端を上げただけだった。
「よし、始めるぞ」
言葉と同時にサレンスは瓶を下げている縄に力を集中させる。
縄はあっという間に焼き切られ、瓶がドラゴンの真上に落ちた。